interview05

左官工事 / 村上 真さん
自分の腕を試せる世界だなと思い、迷う事なくこの世界に入りました。
左官工事 / 村上 真さん
仕事の内容について教えてください。
仕上工事の、左官の作業を行っています。主に床のコンクリート均(なら)し、床・壁不陸の手直し、躯体階段の仕上げなどをしています。
左官工事は昔からの歴史のある仕事で、仕上げが表に出るので技術が試されます。非住宅は工期優先で、主に表に出ない部分の仕上げになります。
この仕事に就いた理由、きっかけは何ですか?
叔父が鳶土工の仕事をしていたので、建設業に興味を持ったのがきっかけです。学生時代は野球をやっていたので身体を動かす事が好きで、叔父の鳶土工の仕事を見てこの業界は自分に合っているなと思いました。その中で左官工事は自分の腕を試せる世界だなと思い、迷う事なくこの世界に入りました。
仕事で大切にしていること、誇れることを教えてください。
躯体工事から仕上工事にスムーズにつなげられるように心がけています。それから、職人間のコミュニケーションを大切にしています。20代の頃に30代の先輩方を指導させて頂いた経験があり、諸々の軋轢(あつれき)の中で仕事を進めるにはコミュニケーション力だと学びました。
20代に苦労した経験が、今の若い職人への指導方法に生きています。
左官工事 / 村上 真さん
左官工事 / 村上 真さん
次世代に継いでいきたい技・そのための道具はありますか?
漆喰(しっくい)塗りなどの壁の仕上げです。何工程もある塗り壁の仕上げ作業を、若い人たちにぜひ伝えたいと思っています。
左官職人は10年の修行を積んでやっと一人前とされていて、使用する道具は数十種類もあり、ビルと住宅と建物の種別や季節によっても使用する鏝(こて)が違ってきます。また、季節によっても押え方が違うので奥の深い世界です。
趣味はなんですか?
野球です。草野球をやっていまして、担当は、内野手、監督。東北大会で優勝の実績もあるチームなんですよ。日頃は仕事一筋ですが、趣味の場では仕事以外の人達とも交流できて、また違った面白さがあります。
高校時代から野球をやっており、野球好きが集まった一つのチームでプレイングマネージャーをやっています。趣味の世界での交流は自分をリフレッシュさせてくれます。人と人との交流を大切にすれば、その輪が広がって行き強いチームが出来上がるという喜びがあります。
建築業界を目指す、若者へメッセージ!
左官は最終工程である内装を担当することから、ずっと残る仕上げとなって現れるのが魅力です。10年の修行を積みやっと一人前になれる仕事です。
苦労した現場が完成して仕上がりを見た時には、何とも言えない達成感と、大変な現場だったからこそ一人ではなく皆の協力があって完成できたんだという、「仲間」を感じることのできる仕事です。完成した建物の中に自分達の仕事が確実に刻まれる、そんなやり甲斐のある仕事です。
左官工事 / 村上 真さん

interview04

内装工事 / 阿部 聡さん
自分の手先の器用さを生かして、手で何かをつくる仕事がしたかった。
内装工事 / 阿部 聡さん
仕事の内容について教えてください。
内装工事全般を施工している会社です。軽量鉄骨下地を組立て、ボードを貼ることで壁や天井を形成し、そこにクロスや化粧ボードなどの仕上材を貼ることで、建物内部の最終的な仕上を行う仕事をしています。
私はその内装工事を請け負って仕事をする職人たちの職長として、みんなをリードする立場です。工程に合わせて材料等の段取りをしたり、仕事の割り振りをしたりしています。
この仕事に就いた理由、きっかけは何ですか?
高校を卒業してから、全く違う業界の営業として別の会社に勤めていたんですが、昔から手先が器用だったこともあって、自分の手で何かをつくる仕事をしたいと考えていました。
そんなとき、兄弟に大工がいたということで建築に興味をもったのと、タイミングよく先輩から声をかけてもらったのがきっかけで、この仕事につくことになりました。
仕事で大切にしていること、誇れることを教えてください。
例えば、住んでいる空間に自分がいたとして、建物が倒壊してしまうような地震などの大きな災害が起きたときに、一番最初に人に当たってけがをさせてしまうのが我々が施工する部分。そうした場合を想定して、万が一にも壊れてけがをさせてしまうことがないように、丁寧で確実な仕事をするよう心がけています。
これまで携わってきた仕事の一つ一つ、すべてが誇れる仕事だと考えています。そのくらい丁寧に、仕上げ後は自信をもって引き渡せるように仕事しています。
内装工事 / 阿部 聡さん
内装工事 / 阿部 聡さん
次世代に継いでいきたい技・そのための道具はありますか?
東日本大震災の際に天井が落ちるなどの被害があったこともあって、規準や工法が新しいものにすごいスピードで変わってきています。どんどん変化している仕様や工法を、その時々に応じて自分で理解し身に着け、確実に自分のものとして若手などを指導していきたいと考えています。
内装工事における主な道具に、ボードやすりというのがあります。1mm単位の精度でボードを削る技術は、一朝一夕でできる技術ではなく、継承していくべき道具と技だと思っています。
実際に仕事をして記憶に残っている印象的なエピソードがあれば教えてください。
内装工事をしていると建物の改修工事などもあり、普段生活している中では一般の人が入れないような空間に入れることがあります。なかなか入ろうとも思わないような場所で仕事するのは、印象に残る仕事にもなります。
下地のボード施工だけでなく、最終仕上となるような化粧ボードの施工を初めて任された時はとても緊張しましたが、同時にこれで一つステップアップできたと感じ、とても嬉しかったのをよく覚えてますね。
趣味はなんですか?
ゴルフです。リーダー会の会長である畠山さんをぬかしたい、会長より飛距離を出したい、そんな思いでやってます(笑)。日頃のいろんな思いをのせて、渾身の一打が出た時は最高です。
建築業界を目指す、若者へメッセージ!
仕事にはキツイ部分もありますが、それはどんな仕事でも同じこと。でもこの仕事は、建物が完成した時の達成感が格別です。建物が形になっていくことを肌で実感できるので、何とも言えないよろこびも感じます。苦しい時も負けたくないという気持ちで頑張り、そうやって頑張っていれば周りのみんなや時間が癒してくれ、それが次の現場へつながっていく。そうした繰り返しがあって今があり、人間的にも成長させてくれる仕事だと思います。
内装工事 / 阿部 聡さん

interview03

防水工事 / 渡辺 匡章さん
現場では、何十人の人のキビキビと働く姿が最初の強い印象だった。
防水工事 / 渡辺 匡章さん
仕事の内容について教えてください。
屋上とバルコニーの床面の防水工事を行っています。具体的には防水シートを貼り、その上に防水液を流しながらルーフィングという道具を使って押し固めながらならしていきます。
この防水液はその場で230〜240℃に熱し、スピード感を持って進めるのが防水の作業なので、4〜5人がチームになって当たります。
この仕事に就いた理由、きっかけは何ですか?
私は塗装に興味があって、ペンキ塗装をする住宅リフォーム会社に就職したんです。建設関連に入って初めて防水の仕事を知り、やってみたいと思いこの道に入りました。
防水工事 / 渡辺 匡章さん
防水工事 / 渡辺 匡章さん
今までの仕事で印象に残っていることは?
以前いた住宅リフォームの現場とはスケールも違いますが、何より空気が違いました。何十人、何百人の他業種の人がそれぞれキビキビと働いているのを見て、びっくりしたのを覚えてますね。
仕事で誇れる部分を教えてください。
防水工事は建物を長持ちさせるための大切な仕事です。材料の種類も色々あり、覚えることが多くて日々学ぶことばかりです。その現場現場に合った技術を発揮しなければなりませんし、少しの違いが大きく仕上がりを左右します。
防水は完成した建物で見えることも多いので、きれいに仕上がるとうれしいですね。
建築業界を目指す、若者へメッセージ!
スケールの大きな現場で働くこと自体、この仕事の醍醐味です。他業種の皆さんとの出会いも楽しみで、人脈も広がりますし、さまざまな仕事について学んでいくことができます。また、仕事ばかりでなく、さまざまな出会いを通じて視野も広がり、自分を人間として豊かに成長させてくれる仕事だと思いますよ。
防水工事 / 渡辺 匡章さん

interview02

塗装工事 / 大友 篤さん
建物をきれいにする仕事で自分の服は汚れてる。
それはカッコイイこと、と思う。
塗装工事 / 大友 篤さん
仕事の内容について教えてください。
仕上げにあたる部分で、天井・壁・床の塗装を行っています。外壁もそうです。コンクリート等のむき出しになって見える部分を美しくしていく仕事で、下地をサンドペーパーで整えるなどの処理を施した上で、下塗、上塗りをして仕上げていきます。
外壁の時、風の強い日には中止になったり、寒さで塗料が凍ったりと、天候を見ながらの進行になることもあります。
今までの仕事で印象に残っていることは?
見習いに入って3年して、先輩の補助がつき、そして一人立ちとステップアップしていきますが、大きな現場では最初、こんなでかい建物がやれるのかと不安に思ったこともありました。でも、一つの現場をやり遂げるたびに、これならもっとできると今は楽しみになっています。
塗装工事 / 大友 篤さん
塗装工事 / 大友 篤さん
次代に継いでいきたい技はありますか?
塗装は伝統の技の一つで、自分でそれを磨いていくことで腕の見せどころも多くなっていきます。私の場合もより上を目指したいと、仕事から帰っても勉強して、昨年は国家試験の塗装技能士一級を取得できました。
後輩も入ってきているので、先輩が私に対して教えてくれたように伝えていきたいですね。
趣味は何ですか?
スノーボードとサッカー、ハンドボール。体を動かすことなら全部好きですね(笑)
建築業界を目指す、若者へメッセージ!
大きな現場で他業種の人とチームになって、一つのことを完成させていくこの仕事はいいですよ。私の仕事は建物をきれいにすることですけど、それによって自分は服にもペンキがついて汚れるのですが、それを自分は〈カッコいい〉と思っているんです。やりがいがある仕事で、カッコよく、生きましょう!
塗装工事 / 大友 篤さん

interview01

内装工事 / 熊谷 勝行さん
幼稚園の子供が
「お父さんがつくった」と自慢していたと聞いた時は嬉しかったね
内装工事 / 熊谷 勝行さん
仕事の内容について教えてください。
内装工事もさまざまに分かれていますが、私は建物の鉄骨が組まれたところで天井や壁に建材(ボード)を組み込む仕事をしています。天井や壁をつくるわけで、これはクロス工事や塗装工事の下地になります。鉄骨工事と並行して進められていく中間的な仕事です。工場建設が現場だったりすると、10mくらいの高所作業もあるんですよ。
この仕事に就いた理由、きっかけは何ですか?
大工を目指していたのですが、現場で実際の内装の仕事を知り、楽しかったのでこの道に入りました。19才で入って30年になりますね。
内装工事 / 熊谷 勝行さん
内装工事 / 熊谷 勝行さん
どんなところが仕事の醍醐味、やりがいですか?
フラットな所から、図面を元に鉄骨が建ち、壁がつくられ天井が出来ていきます。1階1階積み上げ、最終段階までさまざまな業種の人たちと共につくり上げていく…一つ一つが着実に仕上がっていくのを見られるのも醍醐味です。
今までの仕事で印象に残っていることは?
天文台の仕事をやった時、完成した天文台に子供と行って「ここの仕事をしたんだよ」と話したんです。その後の幼稚園の遠足の際、子供が「お父さんがつくった」と自慢そうに話していたと聞いた時はうれしかったですね(笑)
建築業界を目指す、若者へメッセージ!
現場の仕事は楽しいですよ。たくさんの業種のプロの集まりで、オンとオフのけじめがついているし、仕事にはいい緊張感がある一方で、仕事外はイベントや職長会も活発で、人脈も広がります。
仕事に就いたときは学生時代の延長のように思えました。そんな中で、自然と自分の技を磨いていくことができました。今若い人に技の秘訣を教えると、それまで10枚貼っていた時間で11枚貼れるようになります。自分だけの技を磨いていけるのも、この仕事の楽しいところだと思います。
内装工事 / 熊谷 勝行さん